娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「??」

“どのテーブルに届けに行っても誘われるどころかみんな気まずそうに目を逸らすのよねぇ···”

不思議に思いながら、お酒のおかわりを求めている人がいないか確認しながらホールを歩く。


そんな私に声をかけてきたのは客ではなく、メイだった。

「ちょ、ちょっとちょっとリリス、どうしたの!?」
「え、何が?」

詰め寄ってきたメイは少し青ざめていて。

“どうしたの、って聞かれても···”
全く心当たりがなくてきょとんとしてしまう。

「どうもしてないわよ?」
「どうもしてない訳ないじゃない、だってリリス···」

肩をガッと掴まれ軽く揺すりながらそう言われ、思わず何かあったかしら···なんて考えて····

「あ、もしかして」
「やっぱり何かあったのね!?」
「何かというか、その、もしかしてシャルとの事···聞いたのかしら?」

客はまだ知らない人がほとんどでもメイはこの娼館の娼婦。
同僚である私が買い上げられたという情報を知っていてもおかしくないな、と思い当たりそう聞いたのだが。

「英雄様の事····?リリス、英雄様と何かあったの?」

と険しい表情をしていた。
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