娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
“あら、違ったのかしら”

てっきりそうだと思ったのに。
だったら他に何かあったかしら、なんて考えを巡らせるが何も思い当たらず黙りこくってしまう。
そして沈黙が流れ·····その沈黙を破ったのは私でもメイでもなかった。


「そういやコレは極秘情報なんだがな、戦争、終わったんだとよ」


すぐ近くで聞こえたその一言に私とメイは思わず顔を見合せ息を飲んだ。


“戦争が·····終わった····?”


「そんな訳ないだろ、だってついこの間までドンパチやってたじゃねぇか」
「いやぁ、それがマジな話らしぃんだ」

ガハハと笑うその男達に無意識に引き寄せられ、よたよたと近付く私の肩をグイと引いて止めたのは他の誰でもなくメイで。

「リリスはちょっとその顔なんとかして。顔も怖いし顔色も悪いわ」
「·····え、あ······」
「ここは私に任せてよ、私だってそれなりには人気、あるんだからね!」

なんて言ってお酒のボトルを抱えて一人向かってしまった。

本音を言うなら私自身で詳しく聞きたいところだったけれど···

「足····震えてる·······」

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