娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「にしても今代の英雄はついてねぇぜ。もちろん敵国···いや、とりあえず停戦したなら敵国じゃねぇな。まぁでもつい昨日まで殺しあってた相手と仲良く討伐なんて、奇跡的に生き残っても次は暗殺に怯えなきゃいけねぇんだから」


“命をかけても厳しい相手と戦わされて、それが終わっても次は暗殺されるかも知れない···?”


言われた言葉が理解できず、ただ脳内を反芻する。
なんで?
なんでシャルがそんな事になるの?


「あ、暗殺だなんて、そんなまさか···」
「いやぁ!あり得るね!考えてみろよ、一時的に共闘したとしても、目の前には昨日仲間を殺した奴だ。恨みなんて腐るほどあるんだぞ?」
「で、でも討伐には英雄様単体で挑む訳じゃないでしょ?」
「それはまぁそうだな、こっちももちろん尖鋭が向かうんだろうが···そこまでは俺みたいな奴には詳しく話は回って来ないからなぁ」


意気揚々と話す男の言葉が上手く聞こえない。
ただドクドクと自身の鼓動がうるさいくらいに響いているだけだった。



「だからシャルは·····そのまま一人で行っちゃったの····?」
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