娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
自分でも頭が悪いな、なんて思うものの·····


「お!リリス今日はご機嫌か?」
「あら、私はいつもご機嫌よ~?」
「ははっ、この間まで魔王にでもなったのかと思ってたんだがな」
「あーっ、そんな事言っちゃうの!?酷い、泣きそうよ。泣かせた責任···取ってくれるのかしら?」


なんて、まだ少しぎこちないが確かな手応えを感じ始めていた。

“欲しい情報を手に入れるには、まず相手を見極めないと”

No.1に返り咲く、その目標も忘れてはいない。
それでも今欲しいのは確実な情報。


貴族や騎士を優遇したくなる気持ちはわかるが、そういう“一見さん”よりも根強く指名してくれる地元のお客さんこそ大切にするべきだというのが私の持論だった。

今でもその持論は変わっていない、それでも。


フロアを見渡し、いかにもお忍び、といった雰囲気の客を探す。
そしてそういった客を中心に声をかけた。


「なんだい、リリスはもうこっちには見向きもしねぇのかよ~」
「やっぱいい思いをすると変わっちまうんだなぁ」
なんて嫌みを言われるが耳に蓋をし、私は笑顔を振り撒いた。


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