娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
団長様と話し、笑顔を取り戻した私は少しずつまた声をかけられるようになってきて。
数ヶ月経つ頃にはまた昔のように席に呼ばれる事も多くなった。

「お客を取れるようになるまで、本当にもうすぐなんじゃないかしら···!?」

なんて手応えを感じる事もある。

“相変わらずシャルの情報はあまり入ってこないけど···”

共同作戦の話はこちらにも入ってきたが、現状その作戦がどれ程進んでいてどのような状況かまでは手に入らない。


しかし焦っても仕方ないので、地道に出来ることからやっていこう····なんて思っていた矢先、女将から呼び出された。


女将の事務室で向かい合う。

“この部屋に入ったのは、シャルに買い上げられた時以来ね···”

ふとそう思い、胸の奥が痛んだ気がした。


「率直に聞くけど、あんた、本当に娼婦に戻れるかい?」
「····へ?私は最初から娼婦に戻るつもりでここにいるんだけど·····」

女将から聞かれたその言葉の意味がわからずきょとんとしてしまう。
娼婦に戻れるか、なんて聞かれてもなぁ。

「分かりやすく聞くよ、あんた、英雄様以外と寝れるのかって話だ」
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