娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「······ッ!」

娼婦になったなら今度はシャル以外の男性とそういう行為をすることになるだろう。

“私の魔法の発動条件はドキドキすること”

それは予感という名の確信だった。
きっと私はもうシャル以外にドキドキ出来ない。
つまりもう、“魔法は発動しない”のだ。
そして魔法が発動しないということは·····


「寝る····わ。だって私には目標があるんだもの」

私の返答を聞き小さく息を吐く。
そして。

「あぁ、わかった。今晩から客を取ることを許可しよう、ただし、今言った言葉に責任は必ず取るんだよ」
「!!」

私は念願の娼婦に戻る事が決まった。


“これでもっと情報を集められるかもしれない···!”
そう喜ぶ反面、言葉に出来ないモヤのようなものが絡み付くような気もした。



「女将著の娼婦のススメ、もう一回読み直しておこうかな。最近読んでなかったし」
なんて思いパラパラと本を開くが何度も読み込んだ内容なのにちっとも頭に入ってこなかった。


それでも時間は止められない。


「リリス、アネモネの部屋、行けるかい」

そう女将に声をかけられゴクリと唾を飲む。
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