娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
確かに聞いたことはある、しかし詳しい文献が残されている訳でもないその存在は、学園時代に授業で軽く習ったな、程度の存在でしかなかったのだが。


「魔獣は実在する、と言ってもいるのは一体だけでその一体は何十年も前に封印されている」
「······はぁ」
「詳しい情報が一般的に出ていないのは、第二の魔獣を生むわけにはいかないからこそであり、しかるべきところにはしっかりと伝えられている人類の汚点だ」

そう話す団長はいつになく深刻そうで。
からかっている···なんて思えない、そんな雰囲気だった。

「魔獣は第四騎士団が配属されていたところに突如出現した、出現場所や魔獣の進行方向からして相手国の被害が酷い」
「じゃあ、うちの騎士団は無事なんですね?」

魔獣、なんてそんなお伽噺のような存在を聞かされ現実感はないが、団長の真剣な様子からそれが事実であることを理解し、なんとなく状況を把握する。

“戦争どころじゃなくなった、って事か···歴史書で習った魔獣戦は無差別だったはずだ。まだ討伐されていないとしたら戦争なんてしてる場合じゃないもんな”
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