娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「罠である可能性は」
「現状は、ない。相手国の被害の方が大きいからな」
「討伐後の···開戦の可能性は」
「なくはないだろう」

なくはない、つまり魔獣を討伐した後も気を抜けないどころかより危険な状態になる可能性があるということ。

“はっ、そんな事ってあんのかよ····”
だが俺は騎士だ。
上の命令に従い、兵器として使われるのみ。

“リリスにちゃんとプロポーズしなくて良かったな···”
皮肉にもそう思い、乾いた笑いが溢れた。


「ちなみに魔獣戦はどれくらいの規模になりますか?」
「少数精鋭での作戦参加になる」
「という事は、俺と団長と、それからカールにニックらへんですかね。まぁ俺は言われるがまま戦うまでですが···」

思い当たるメンバーを口にした俺に、団長は静かに首を振った。

「今回の指揮はシャスティール、お前になるだろう」
「は?」

静かに告げられたその言葉に唖然とする。

“俺?”

「じゃあ···団長は····」
「俺は隻眼を理由に作戦から外される事が決まった」
「·····ハッ」

今まで前線で活躍してきた団長が、今さら片目を理由に作戦から外される?
そんなバカな。
< 188 / 308 >

この作品をシェア

pagetop