娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
つまりこの作戦は·····

「····本当にすまない」
「俺に謝罪する必要はありません。団長の本意でもないでしょう。俺たちは軍人だ、全力を···尽くさせていただきます」

そう言って頭を下げ、団長室を後にする。

“英雄は、その時一番功績を出した騎士に与えられる称号。つまり俺が死んだら生きてる騎士の中からまた選ばれる。そして団長は···”

「優秀な指揮官である団長の代わりは···いない、か」

そう呟いた。

つまりこの作戦は、魔獣もしくは相手国の人間に“殺される前提”で組まれた作戦って事なんだな。

「ほんと、ついてねぇ····」



絶望に似た諦めを胸に、俺は真っ直ぐ娼館・ライッツに向かった。

「女将、ちょっといいだろうか」

そっとそう声をかけると、「まだ開店前なのにお盛んだね、リリスを呼ぶかい?」なんて少し呆れ気味にからかわれる。

「いや、女将に話がある、リリスは呼ばないでくれ」

そう伝えると、さっきまでの雰囲気が一変した。

「····こちらへ」

案内されたのは娼館という華やかな場所には似つかないシンプルな事務室。
促されるまま俺はソファに腰かけた。
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