娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

21.帰るべき日常はここだと何度も言ったのに

少しでも優雅に見えるように、妖艶な微笑みを心がけてアネモネの部屋に入る。
そんな私を迎えたのは。

「やっほ~!買っちゃった!」
「だ、団長様···!?」

魔法騎士団のアークレイ騎士団長、その人だった。


「えっと、本日はご指名いただきまして、というか前回も結局お金は団長様が払ってくださったんですよね!?」

想定外のお客様に驚き思わずそんなことを言ってしまう。
まぁ、気になっていたのも本当だし···。

そんな私をにこにこ見ていた団長様は、入室した時とは一変しふっと表情を陰らせた。


「今日は君に伝えなくちゃいけないことがあって来た」


その一言にドキリとした。
なんとなく嫌な予感がし、心臓が痛いくらいに跳ねる。

呼吸すらも忘れたような私の様子に、「聞くかい?」と優しく団長様は聞いてくれた。

“聞きたくない、けど···知りたい···”
この話はきっとシャルの話。
ゆっくり深呼吸をし、真っ直ぐ団長様を見て頷いた。

頷く私を見た団長様は、腰掛けていたベッドから立ち上がりわざわざ私の前まで移動して。


「·····討伐は成功した、止めを刺したのはシャスティールだ」
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