娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「ちょっと、ウチの娘に乱暴は許さないよ!」
「おぉ、怖い怖い、ちょっと引っ張っただけじゃねぇか。それに俺は客だぜ?」

すぐに女将が怒ってくれるが、その男は私の腕を離す気はないようでニヤニヤと嫌な笑いをしながら懐から金貨を出した。

「リリスは今日は休みだよ」
「ここにいるじゃねぇか、それにちゃんと金額は合ってるだろ?娼婦がいて、金がここにあるのに断れるとでも?」
「そ、れは···」

娼婦と客がその場にいて、客がお金を規定金額払っていて。
そして何よりここは娼館で。

断れる理由が見つからず、女将が口ごもる。

「英雄が囲っていた女、興味あったんだよな。金は払ったんだ。それとも娼婦が客を選ぶのか?」

“そう、私はただの娼婦ーー····”

それでも女将はなんとかして私と男を離そうとしてはくれていたが、娼館で娼婦を買うのは当たり前の事。
逃げる事も、そして逃げる理由ももう私にはなくて。

「·····いいえ、私はただの娼婦よ。ご指名嬉しいわ、女将、今どの部屋が空いてるのかしら?」
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