娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
ひっくり返った事によって露になった脚を見て舌なめずりした男は、そのまま右足首を掴み無理やり脚を開いてきて。


“シャルだったら、絶対こんなことはしないのに”

シャルだけが特別だったのか、それともこの男が乱暴なだけなのか。
それすらもわからないくらい私には経験がなくて、本当にシャルだけでーーー······


「····会いたい、会いたいよ、シャル····」

思わずそう言葉が溢れ、笑うと少し幼くなる大好きな彼を思い出す。
その時だった。


「ーーーーッ、ぅ····?」
「·······?」


小さな呻きが聞こえたかと思ったら、ドサリと倒れた音がした。
固く瞑っていた目をゆっくり開けてベッドから床を見ると、そのまま床で眠る男がいて。

「あ、あら······?」

戸惑いつつも、シャルを思い出し求めた事で幸せだった時間を連想し、魔法が発動したのだと気付く。


「どうしようかしら、お客様なのにざまぁみろとか思っちゃう····」

なんて思わず口から出て、そんな自分に驚いた。

抱かれなくてホッとした。
シャルとの想い出が上書きされなくて安堵した。
シャルだけに抱かれたいと思った。
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