娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「私、全然ダメじゃない。娼婦失格ね?」

女将の言っていた、“寝れるのか”という質問、今なら『無理だわ』と答えるだろう。

そんな事を考え、眠る男を見下ろしながら笑ってしまう。


頑張ればまた見つけて貰えると思ってた。
選んで貰えると信じてた。
だけど、貴方がいなくなったんじゃ、意味ないじゃない。


「生存は·····絶望的ーーー·····」


そう呟いて、ベッドから降りる。

「ぐえっ」

うっかり何か踏んだ気がしたが気にしない事にした。
だって私、気付いちゃったんだもの。


パタパタと足音立てて階段を駆け降りる。
そんな私の姿を見た女将は一瞬心配そうな顔をしたが、私の顔を見て苦笑に変わった。


「女将!ごめんなさい、やっぱり私娼婦を辞めるわ!」
「念の為に聞くが、さっきのお客は関係あるのかい?」
「そうね、なくはないけど直接ではないわね、というかあの人頭打ってるかもしれないから適当に治療お願い出来るかしら?」
「····あんた、まさか」

怪訝な顔になった女将に、慌てて「殴ってないわよ!?」と伝える。
まぁ、魔法はかけちゃった訳ですがこれは不可抗力ってやつですし。

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