娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
元敵国での共同作戦だった事は知っていても、その国のどこら辺か、という部分がわからない。
自国でもなく土地勘もない。

“つ、詰んでるわ···”


「そもそも、まず馬車より先に護衛だと思うけどなぁ~」
「ひゃぁあ!?」

途方に暮れため息を吐いた····その瞬間に真後ろからクックッと笑いながら声をかけられて小さく飛び上がる。

慌てて振り向くとそこには。

「だ、団長様···!?」

そこにはしっかり騎士服を着た団長様が立っていた。

「ど、どうしてここに·····?」
「そうだねぇ、残念ながら情報屋ギルドは小説の中にしかないから、自分の力で情報を集めてみたら面白い事知っちゃってさぁ」
「ぎゃ!!なんでその会話を!?」

女将に物凄く残念そうな顔で見られた事を思い出し瞬時に赤面する。
これはあれか、スパイが潜り込んでたとかいうやつか。
いや、なんで娼館に!?

混乱する頭で必死に団長様を見上げると、少しだけ辛そうに、でもそれ以上に嬉しそうに笑う団長様と目が合った。


「君が、シャスティールを諦めないなら俺も付き合うよ。あいつは俺の大事な仲間だから」
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