娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
ついでに宿泊場所は俺達に気を遣ったのか、小さな施設を貸し切りにしてくれた。

最初は暗殺を警戒し施設に防御魔法と感知魔法をかけて異変に気付けるようにしていたのだが、拍子抜けするくらい誰も襲って来ず。
しばらくすると防御魔法すらかけずに体を休めるようになった。

俺は相変わらず寝れないので、見張りがてら施設周りを歩いてみたり屋根から辺りを見回してみたりしていたが。

「平和って感じ····」

この場所に最も不釣り合いな言葉が漏れるくらいだった。



魔獣討伐作戦はとてもシンプルなものだった。
魔獣を誘き寄せるのは不可能、だが街中で戦闘に入るのはリスクが高過ぎると言うことで、魔獣の進行方向に魔法障壁を作り強制的に行き先を変更させる。

そして“障壁組”が少しずつ魔獣の進路を変え俺達“討伐組”が待つ決戦の地····という名の過去の戦地で討伐に挑むというものだった。

「皮肉なモンだな···」

ぼんやりと窓から外を眺めそう呟く。
自分達が焼いた地が最終決戦の場になる、つまり俺は“俺”が壊した場所にわざわざ戻り壊れるという事か。

そんな事を考え思わず卑下た笑いが出かけ·····
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