娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
パーン!と乾いた音が部屋に響く。

「いってぇ!·······ちょ、思ったより痛かった···!」

自分で自分の頬を叩いたくせに予想以上の痛みが走り、そしてそんな事が可笑しく今度は普通の笑いが込み上げてきた。

“卑屈には···ならない、嫌な自分で終わりたくはないからな”

それは自分の為か特別な人の為かはわからないけれど。



今回の作戦で外された団長は、罪滅ぼしのつもりなのかは知らないが忙しい合間を縫って手紙をくれる。

“別に団長のせいじゃないって言ってるんだけどな”
なんて思いつつ、一人思考がマイナスになった時はそっとその手紙を開く事にしていて。


『リリスちゃんに会ったぞ、情報屋ギルド探して、小説の中かと女将にバッサリされていた』
「流石リリス、思考がぶっ飛んでるな、ファンタジーかよ」

『お前のこと、待ってるって言ってたぞ。だから必ず迎えに行け』
「相変わらずだな。俺のことを待ってる···か、リリス····」

“もし君の元に帰れたら····”

なんて考え、一人首を左右に振った。



悔しいが、団長にならリリスを任せられる。
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