娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「·······死ねッ!!」

そう背後から唐突に叫ばれる。

つけられている事には気付いていた。
殺気が漏れすぎ。
だからもちろん無言で襲われても回避する自信はあったのだが·····


“·····殺したいなら叫んで場所知らせちゃダメだろ···”

サクッと振り向き手に持っていたナイフを叩き落とす。

「ごめんな、俺まだ死ねないからさ」

なんて言いながら襲撃者を見て少し驚いた。

「······子供?」
それは15歳くらいの男の子だった。

「お前が、お前のせいでッ、お、お前らが···!」

俺の前に立ったその男の子は、憎悪を隠すことなく涙を拭うこともせずひたすら睨んでいて。

“あぁ、俺が焼いた地の被害者なんだな”
と理解した。


戦争なんて、相手を知って得する事なんかない。
知り合いを、友達を、家族を焼いてしまったと気付くと心が壊れるからだ。

自分の知り合いでなくても、友達の友達がその国の人かもしれない。
たまたまそこにいただけで巻き込まれたのかもしれない。
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