娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
噛まれた腕をチラリと覗くと、しっかりとした歯形が残っていた。




「今日こそ死ねッ!!」
「エトおはよ、スープ飲むか?」

それからこの幼い暗殺者と俺の奇妙な生活が始まって。

「これならどうだ!?」
「ごめん、トイレはその···一人でゆっくりしたいんだが···」

「ははは!どうだざまぁみろ!?」
「エト、一緒に肥溜めに落ちてどうするんだ、お前もざまぁみろな姿になってるぞ···」

なんて、多い時には1日に10回も命を狙われた。
仲間の騎士も最初は警戒したり、怒ったりしてくれていたのだが····


「エト、そこだいけっ!」
「俺はお前が一発食らわす方に賭けてんだからそろそろ勝ってくれよ~!?」
「いや、俺達で遊ぶなよ!!」

なんて、流石“あの団長”が作った隊のメンバーだと納得するくらい馴染んでいた。


“俺がエトの何を壊したのか”は聞かなかった。
家族かもしれないし生活かもしれないし全てかもしれない。
それが俺の本意でなかったとしても、俺がしたことは事実だからだ。

エトも俺が何をしたのかは言わなかった。
ただ毎日俺を殺しに来るだけだった。


そんなある日の事だった。

< 224 / 308 >

この作品をシェア

pagetop