娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「シャスティール、今日暗殺者くんは?」
「あれ、そういやまだ来てないな····」

普通に“今日は静かだな~”なんて考えていたが、改めて指摘されると少し気になった。

「·····あー、俺ちょっと食後の散歩····」
「すぐ見つかるといいな」
「いや、散歩だって言ってんだろ!散歩だからな!!」
「はいはい、うっかり暗殺されんなよ~」

なんてこそこそ施設を出て歩く。

“どこら辺歩くかな”なんて考え、適当に歩けば暗殺しに来るだろ。なんて楽観的に考え決戦の地を徘徊してみたのだが。


「こ、来ねぇ~~~っ!!」

流石にこんな事はなかったし、近付く足音や気配すらないなんて。

「エト、俺に飽きたのか?」
なんてまるで嫉妬して欲しい恋人みたいな事を口に出して思わず頭を抱えた。

“俺は!!何を!!言ってるんだ!!!”


そんな俺の耳に、微かに何かが壊れる音が聞こえた気がした。

「なんだ···?」

普段なら気のせいかとその場を去るが、その時は何故か気になった。

“まぁ、時間もあるしな”なんて音が聞こえた気がした方へ歩き出す。

「まだこっちの方には草木が残ってたんだな」
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