娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

そんな俺の様子に驚いたのか、少しビクリとしたエトは小さな声で３人、と教えてくれた。

“３人か、魔力反応辿れるか···！？”

変に動かれないよう左手でエトを掴みながら、右手を瓦礫に向ける。

少しずつ瓦礫全体に魔力を流し、探りながら浮かしていく。
もしここで集中力を欠いたら瓦礫が落下して潰してしまう可能性がある。

“ミスは許されない”

その時、カッとおでこに鋭い痛みが走る。

「え、エトを離せ···！」

足元に転がった5センチ程の石を見て、投げつけられた事を理解した。

“くそ、落ち着け集中を切らすな···！”

瓦礫に魔力を流し、感知魔法も同時に使う関係上自身の防御には魔力を割けない。
流れる血が目に入るが構ってはいられなかった。

一人が投げ出すと、気付けばみんな投げ始める。

“エトに当たったらどうする気だ？”なんて思いながら瓦礫に意識を戻し···

「ーーー見つけた！」

パッとエトを離す。
その様子を見て石を投げていた人達はやり返されると勘違いしたのか逃げたりその場にへたり込んだりしていたが、そんな事は全て後回しだ。