娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「あっ、ちょっと眠気が去った····くっ」

憶測が立証されたと嬉しそうに説明され、そんな彼の様子に比例するかの如く私のトキメキは“すんっ”と消えた。

“いや、わかってた、彼はムードを高めようとしたんじゃない、睡眠の質を高めようとしただけだもの”



ドキドキする事がトリガーだとして、ドキドキしてくれと言われすぐにドキドキ出来るかと言われればそうではない。
今からお客さんと!と思えば確かに緊張からドキドキもするが、彼との場合は最終目的が“男女の行為”じゃないからこそ、逆にドキドキ出来ず····

そんな中手っ取り早くドキドキするには、やはりそれなりの行為が必要になってくる訳で。

「リリス」

抱き締められたまま耳元で囁かれ、思わず顔が熱くなる。
そして軽く啄むようにキスが一つ降ってきた。

「んっ」

そのまま角度を変え何度も啄むように唇を合わせ、そっと彼に手を引かれベッドの上に移動する。

「シャル···」
「あぁ、立ったままバタリと寝る訳にはいかないからな」
「ドキドキさせたいならそういう事は言わない方がいいわよ」

はぁ、と思わずため息が漏れる。
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