娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
それでもその“恐怖”はどこか心地よくやすらげるものだった。



束の間の穏やかな日常。
そんな時間はもちろん長くは続かなくて。


「決戦、ってやつか···」

障壁組が誘導し、選ばれたこの場所に魔獣が向かっているとの報告が入る。


どこまで被害が出るかわからないから、とエト達に話し一時的にこの場を離れるように頼んだ。
その頃には元々敵同士だったとは思えないくらいには親しくなれていて、気遣う言葉も貰ったりした。


そして対峙する魔獣は。


「う·····わ、でっけぇ···!」
思わずそう唸るくらいにはサイズが大きかった。

「その分的として優秀だな!?」

そんな声を後ろからかけられ、それもそうかと納得する。

一番“硬い”俺が戦闘でタンクの役割に徹し、その隙に後方から仲間の騎士が俺の回復と遠距離攻撃を仕掛ける。

止めは相手国の騎士が魔獣の背後から大魔法とやらをぶつける、との話だった。


“エトみたいに直接殺しに来るわけじゃないとはいえ···”

その大魔法とやらで『ついでに死んでくれてもいいな』なんていう打算が見え隠れしため息を吐いた。
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