娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「ーーーーげ」

ハッとした時には魔獣の口内に最大エネルギーであろう魔力が集まっていて。

“特大の咆哮が来る···!!”

今から防御に回してどれくらいの分厚さの障壁が張れるか瞬時に計算し、絶望的だと判断した。

「これは、本当の本当にもうダメかもな」

はは、と乾いた笑いが漏れ、腰辺りからカチャリと金属のぶつかる音が聞こえチラリと見る。

そこにはリリスに貰った鎖に通されたあのアーティファクトがあって。

「ーーーあ」

先ほどの爪がかすったのだろうか、鎖が切れベルトからスルリと落ちる瞬間だった。

今魔獣から目を離すわけにはいかないとわかっていながら無意識で落ちるアーティファクトに手を伸ばす。
しかし届かず地面にガチャンと落下して。



「ーーーーーッッ!?」

落下した衝撃でアーティファクトが発動した。
このアーティファクトは国内最高の魔法師が作り上げた無効化の魔法がかけられていて····


その無効化の魔法は俺の魔法も無効化したが、魔獣の咆哮の何割かも無効化した。


そして、威力を減らしたただのトカゲと、魔法を失った魔法騎士ならば。
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