娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
そこには全身包帯で巻かれ、うなされる人がいて····

「ーーーッ」

慌てて駆け寄り横になったままのその人を見ると、酷い火傷はしているが確かにシャルで。

「い、きて····た······っ」

思わず力が抜けそうになり、そしてそんな自分を叱咤する。

“シャルが苦しんでるのはこの怪我のせい···って訳じゃなさそうだわ”

私と一緒にテントに飛び込んだ団長様はすぐ何かの詠唱を始め、じわりじわりと赤黒く爛れた皮膚は戻り始めたが、相変わらずずっと苦しそうにうなされていた。

それどころか身体の状態が良くなった事で手足が動かせるようになったからか、自分の首をガリガリと掻きそこから血が溢れる。

「シャル、大丈夫だから、シャル···っ」

必死に声をかけるが効果はなく、水で濡らした布で額から流れる汗を拭くしか出来なかった。

“引っ掻いた傷はすぐに団長様の魔法で治るけど、キリがないわ、どうして···どうしたら···!?”

「これは、瘴気····か?」

治しても治してもすぐ掻きむしり傷を作るシャルを押さえる方にシフトチェンジした団長様は、シャルの両腕を掴みながらそう呟いた。

「瘴気?」
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