娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
目的を知っているとは言え、言葉で聞くとなんともガッカリするもので···

“本当に私に女としての魅力を感じてないのね”

そう実感し、心の中でムッとする。

「私をドキドキさせたいなら、もっと全力で誘ってよね」
ベッドに腰掛けたシャルを体重任せに押し倒し、そっと上着のボタンに指をかける。

「俺が誘う方なのか?」
「···それもそうね」

娼婦が誘うならともかく、娼婦を誘えと言うのも確かに変な話だ。
だが、私達の場合興奮しなくてはいけないのは彼ではなく私の方で···

「でも、私に誘われてシャルは嬉しいの?」
「···それもそうか」
「あ、今私のトキメキゲージがまた下がったわよ」

それは困ったな、と真剣な顔になったシャルは、ごろりと私と体勢を入れ替える。

「ボタン、外してくれないか?」
「え?あ、うん···」

さっきは自分で手をかけたのに、改めて言われると少し緊張してしまう。

“もし私の魔法がなかなか発動しなかったら、彼はこのまま私を抱くのかしら···?”

その可能性を考え、ただ上着のボタンを外しているだけなのになんだかとんでもなく恥ずかしくなってくる。
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