娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

25.ここが鎖の使い時

目を覚ました私は、優しく髪を撫でるシャルを見てそのまま抱きついた。

「シャル、シャル····っ!!本当に良かった···っ」
「リリスの声が聞こえたんだ、俺が迎えに行きたかったんだけどな。·····迎えに来てくれてありがとう」

団長様と案内してくれた男の子はここには居ないようで、私はそのままぎゅうぎゅうとシャルを力いっぱい抱き締めると、同じくらいの力強さでシャルも抱き締め返してくれた。


「会いたかったの、シャル、私シャルの事を忘れるなんて出来なくて」
「俺もリリスの事を忘れた事なんかなかったよ、全て捨ててリリスのとこに帰りたかったけど···でも、それ以上にリリスの事を守りたかったから」

だから、と続ける彼の言葉をそっとキスで塞いでそのまま彼の胸に頬を寄せる。
耳に響くシャルの鼓動が“確かに生きている”と実感させてくれた。

そしてその鼓動の音が体に染み込み、私の心を解すのを感じてー····


「リリス、泣いてる?」
「わかんない、私、泣いてる?」

そっと顔を上げると目尻が赤く潤んだシャルと目が合い、そのままちゅ、と目元に吸い付かれた。

「シャルが泣かせたんだからね···」
< 247 / 308 >

この作品をシェア

pagetop