娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
それはきっと、シャルが全てにちゃんと向き合って生きてきたから····


「シャル、生きててくれてありがとう」

その呟きはシャルには届かなかったけど、私達にはこれからまだまだ時間があるから。

“何回でも伝えたいな”
そう思い、シャルの服の裾をそっと握った。

「リリス?」
ただ触れていたかっただけで引っ張ったつもりはなかったのだが、どうやら微かな違和感に気付いたのかシャルが振り向いて。

「どうかしたのか?」
「わっ」

そのまま裾を掴んだ私の手を取ってしっかり握ってきて。

“ちょ、シャル、団長様も他の騎士様もついでにエト君まで見てるわよ!?”
なんて内心焦る。

でも絡ませた指を私から外すなんてしたくなくてーー····

「俺も···娼館行きたい···」
「ばっか、あそこは一夜の夢を買うだけで本当の愛とか幻なんだぞ」
「あいつらがレアパターンだ、幻想を抱くな」

なんて言いながらそっと皆後ろを向いてくれて。

「キスが終わったら声かけてくれる?ほら、エト君の教育上よろしくないからさぁ」
「いや、さっき間近で目撃しちゃったから今更な気もするんだけど···」
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