娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
捲し立てるようにぶつぶつ言いながら部屋を歩き始めたシャルは、すぐにベッドの横の床に跪いてベッドの上に座る私の手をそっと取る。

「リリス、ずっと言いたかったけど俺はいつどうなるかわからない身だったからなかなか言えなくて。でも、離れてみてどうしても諦められないって実感した」

いつか撫でられた人差し指を再び撫でられ、これ以上ないほどに顔が···いや、全身が熱くなる。

「今度こそ本当に、リリスのここに証を贈りたい。俺と結婚してください」
「ーーーッ、·····ぅ、あい····っ!」

自然と涙が溢れ、はっきりハイと返事がしたかったのに籠ったような声になってしまって。
それでもシャルにはしっかり伝わったようで、立ち上がったシャルはすぐにまた私を抱き締めた。

「嬉しい、凄い幸せにする、ていうか俺が今凄い幸せ」
「ばかぁ···」

“私だってこれ以上ないくらい幸せよ”なんて、上手く言葉に出来る気がしなくて必死にシャルの背中に腕を回し力一杯抱き締め返す。

この気持ちが全てシャルに伝わりますように、と願いを込めながら。

そしてそんな私達をまるで祝福するかのように窓の外に花火が上がった。


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