娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

27.ゴリ押しの押し掛け女房は私だけで十分です

すやすやと眠るシャルが可愛くて、ちゃんと温もりを感じて“ここにいる”と実感して。

そんなシャルの柔らかな栗色の髪の毛にそっと指を通すと、ピクリと瞼が揺れる。
そしてゆっくりエメラルドの瞳が私の姿を捉えて·····

「ん、リリス····」
「おはよ、シャル」
「そうか····うん、リリス····俺さ」

目覚めたばかりだからか、少し気怠げな瞳が微かに陰る。
そしてそっと、彼が口を開いてーー····




「俺、何回寝た?」
「これで8回よ」



はぁぁ、とお互い深いため息を吐いてごろりと仰向けになる。

“あのアーティファクトって本当に偉大だったのね”なんてしみじみ思うほど私の魔法はシャルに効いた。
いや、プロポーズされて私のドキドキがバグってしまっているのかもしれないけども。

“だとしても···!”

「おやすみ3秒は早すぎる····!!」
「リリス、俺は今致命傷を負った···っ!」


寝不足を解消し、十分寝た後なら魔法の効果が弱くなるのではないか。
そう推測を立て、最初は普通に寄り添って寝た。
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