娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
“そもそも私の魔法は夢を見させる魔法なのよね”
寝ているシャルの頬を突つきながら以前言われた事を思い出す。

あの時シャルは、夢の副産物で相手が寝ているだけだと言っていた。
と言うことはやはり···

「寝不足が解消されていようと関係ないってこと、よね···」


“強敵だわ····”
なんて考えていると再びシャルの目が覚めて。

「うぅ·····リリス?本物?」
「あら、偽者がいるのは貴方じゃない?」

なんてくすりと笑ってしまう。
シャルはまだ半分寝ているのか夢うつつな状態で。

「なんか·····ピンクな夢見た····」
「······?ピンクな、夢····?」

ピンクな夢とは?と思わず聞き返す。

「···んん、でも夢より現実のリリスがいい···」
なんてまだ微睡みながらそっと抱きついてくるシャルに、ピンクな夢の正体をなんとなく察し少し苛立った私は。

「夢の中ではどうだったの?」
「えぇ····、そりゃ凄く····ヨカッタけど····」
「そう、どうヨカッタのかしら?」
「んと············、ん、は?え?えっと、え?」
「あら、やっとお目覚めかしら?」
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