娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「これこそ夢にならない····?」
「ならないわね」

完璧に作り上げた笑顔を向けると、一気に覚醒したらしいシャルはベッドの上でサッと正座した。

「えーっとですね、これはですね···」
「ふふ、言い訳かしら、別に私は夢の中での事まで浮気とか言わないわよ?」
「いや、ホントちがっ、夢の中でも相手はもちろんリリスだから!!!」
「え、私?」

てっきりハーレム的な何かを想像していた私に飛び込んできた“私”の話に少しぽかんとしてしまう。

「そりゃそうでしょ····ていうか俺がこんなに寝ちゃうのだって、俺がリリスの事めちゃくちゃ好きなせいなんだから」

当たり前のように言い切られて、苛立った気持ちなんてなかったかのように一気に頬が熱くなった。

「や、病み上がりだから効きすぎてるのかと思ってたんだけど···」
“あと、私の気持ちが大きすぎるのかとも”

なんて思わず呟くと

「いや、それもまぁなくはないかもだけど、無意識にリリスなら全部受け入れちゃって魔法がモロ効いてる···魔力耐性を向上させてもそもそもの受け入れ体制が整い過ぎて····」

そうため息混じりに返され、更に頬が熱くなる。
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