娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
私の客はすぐに寝てしまう為、私は寝たのを確認し部屋を出て次の客の待つ部屋に移動するという具合だ。

シャルが最初に提案してきた“俺が寝た後はすぐ他の客を取ってもいい”というのは、イかせなくても構わないからすぐ次の客へ行け···という意味だが、そもそも私は客をイかせた事はなく、罪悪感はあるものの起きない客を待っていても仕方ないのでそのまま別の客を取っていた。


“彼もいいって言ってるんだし、いつものように、部屋をさっさと出ればいいってわかってる。それが私のいつも通りだったし···”

それなのに、何故か寝てる彼の隣から移動する気になれず、今日はそのまま寝落ちてしまったらしい。


「人数取らないと稼げないんじゃないのか?」
「それはそうだけど····まぁ、心配でもあったし····」
「心配?俺が、か?」

きょとんとした顔のシャルに思わず恥ずかしくなる。

「た、確かにこの国の英雄様をただの娼婦が心配するなんておかしいかもしれないけど!別に心配するのは私の勝手でしょ!?」

しかも心配とか言いながら彼よりぐっすり眠ってしまい、形無しである。が。
心配なのは本当の事で····
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