娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

28.透明な壁を壁と見なしてなるものか

それは夕食時の事だった。

「シャスティール、お前に帰還命令だ」
「え?急ですね」

シャルの生存が確認できたと報告を入れたら即返ってきた、というその返事は確かに急なように感じるものの。

「でも、英雄の生還、だったらそうなるのも仕方ないんじゃないかしら?」

なんてのんびりスープを口に運んでいた私達。
しかしそんな私達とは対照にどこかげんなりした様子で話す団長様は、「お前に特別な褒賞を与えたいが為に最短で帰ってこいとの事だ」と静かにそう言った。


「特別な褒賞···?」
「何かしら?」
「いや、今までそんなの貰った事ないしなぁ、土地とかだったら要らないんだけど」

なんて顔を見合わせた私達に伝えられたのは、とんでもない褒賞話だった。


「第二王女殿下の降嫁だ」
「「···········は?」」


一瞬意味がわからず唖然とする私だったがすぐに言われた意味を理解し、全身に体当たりをされたかのような衝撃を覚え····たのは、シャルが飛び付くように抱きついてきたからで。


「要りません!!!リリスがいるので要りません!!!拒否してください本当に要らない!絶対嫌だ!!」

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