娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
“本来こういう時って不安になったりショックを受けるのが正解なんだろうけど···”


ここまであからさまな対応だとむしろ安心してしまう。
しかし、つい和んだような気持ちになった私に思ったよりも厳しい現実が投げられた。


「リリスちゃんが一番な気持ちはわかるが、リリスちゃんが理由では断れない。相手は王女でかつ王命。彼女はただの平民だ、お前は貴族である事を思い出せシャスティール」


諭すように言われたその一言に、私もシャルも思わず固まる。

“浮かれきって忘れていたけど、シャルって貴族だったわ···”

もちろん平民だから貴族の妻にはなれない、なんて事はない。
しかしそれは“相手に決まった相手がいないなら”だ。

褒賞という名の王命で降嫁されるのなら、断る理由もそれ相応のものが必要になる。
しかし理由が“私”では····

「良くて愛人ってところね···」

そうポツリと漏らすと、ため息混じりに「そうだな」と団長様が答えてくれた。


「······俺の最愛はリリスだけです、形だけだとしても絶対に要りません」
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