娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
そうシャルは断言してくれたが、シャル本人もどうすれば断れるか考えあぐねているようで。


「あの、団長代わりに貰いません?」
「俺は作戦から外されてるし、そもそも俺も要らん」

と団長様もいつになく真剣に答えていた。


「断る理由がないなら作るのはどうだ?」
名案だ、と表情を明るくした団長様にシャルは怪訝な顔を向ける。

「嫌な予感しかしないんですが、例えば?」
「そうだな~、魔法で女になってみるのはどうだ?戻れるのかは知らないが」
「そんなことが出来るなら、ありかも···?」
「そもそも性別を変える魔法なんてありませんし、偽装は罪ですし、リリスも言いくるめられかけないで!」
「はぁい···」

なんて案を出し合うが成果は得られない。

というか。
“こんなに拒否される王女様ってどんな人なの···?”
なんてつい考えてしまう。

それなりに格式のある娼館の娼婦だった事もあり知識や教養は身につけたつもりだったが、王子様ならともかく“王女様”に絞った情報はそんなに持ってはいなかった。

< 275 / 308 >

この作品をシェア

pagetop