娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
当然のように私も付いて帰る事になった。

帰りは馬車ではなく馬に2人乗りである。
しっかり後ろから支えられていて安定感はあるものの····

「その、私馬に乗るのハジメテで」
「大丈夫、俺が後ろから支えてるから」
「あの、緊張もあってドキドキしっぱなしで」
「この馬は落ち着いてる軍馬だから問題ないと思うぞ」
「····シャル、寝ない?」
「あ、馬じゃなく俺への不安か·····」

なんて会話が繰り広げられた。
ちなみに。

「ま、アーティファクトもあるし大丈夫だろ、戦場にも出たことある馬だし一人落ちてもしっかり走るよ」
「寝ないでよね!?」

と、全く安心出来ない情報も込みで。


そんな絶妙に不安になるスタートだったものの、入国時のような検問のチェックなんかはなく、案外サクッと通れて“出るのは簡単なのね”なんて思いながら出発。

「落とすような真似はしないつもりだけど、心配だったら捕まっててくれ」
「落とされるなんて思ってないけど、大好きだから捕まっておこうかな」
「···んッッ、俺が寝たらどうすんの···」
「シャルがドキドキする分には問題なしよ」
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