娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
なんて会話を楽しむ余裕まで出てきて。


しかし帰路は訓練された軍馬とはいえ馬一頭。
馬の体調を考慮し野営を挟みながら帰ることになった。
ちなみに護衛はいない、そもそも“英雄”とはその国一番の騎士に与えられる称号。
病み上がりとはいえ流石にシャルがいるなら問題なしだと判断された。


「せめて何か理由があれば良かったのにね」

サクッとシャルが捌いた兎を食べ終わり、持ってきていた簡易テントを張りながらそんな話をする。

「ま、なんとかする。だからリリスも心配しないで待っててくれ」

そう言い切られ、心配ではあるものの不安は感じなかった。
簡易テントは本当に屋根代わりの布を木にくくりつけるだけの簡単なもので、そこに合わせてシャルが防御魔法を張ってくれるがもちろんベッド等はない。
夜は冷えるから、とシャルの足の間に座り後ろから抱き締められる形で寝る前のゆったりした時間を過ごしていた私達だったのだが····


「·····シャル、手が」
「ん?」
「その、服の中に····えっと」
「最後までシないからちょっとだけ···」

少しだけなら···と誘惑されかけハッとする。
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