娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「今晩は王城で褒賞の件もあるし他の手続きもある。遅くなるかもしれないから皆と居てくれる方が俺も安心だ」

そう言いながらそっと頭を撫でられる。
そんな私達に苦笑を溢した女将だったが···

「スミレの部屋を開けといてあげるよ、帰ってきたらそのまま向かって構わない」
「お金は要らないのか?」
「今回だけだよ」

なんて。
やっぱり女将は素直じゃないが、それでも私の第二の母だと実感させられた。


そんな話をした後は、「俺絶対受取拒否してくるから!!」なんて何度も言いつつ、後ろ髪引かれるのか何度も振り返り戻ってくるシャルを笑いながら見送った。


“それ、不敬ってやつにならないのかしら”
と、少し心配になったのは内緒である。





スミレの部屋に入り、シャルを待つ。

「ここも最後になるのね···」
なんて考えるとなんだか感慨深くて。

折角だから、と女将著の娼婦のススメ-スペシャルエディション-を久々に開く。

“最近はシャルにされっぱなしだもの、元娼館のNo.1として私も新しい技を会得してやるわ!”
そう気合いを入れて最初のページから読み直した。
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