娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
“出来ることがあるかどうかは別として、安全第一で必ず行くからね···!”

シャルが無事なのは大前提だが、誰よりもシャルを幸せにする為に私自身も大事にしなくてはならないのだとそう教えられた気がした。

「ありがと女将、明日朝一に向かうわ」
「気をつけんだよ」



そして迎えた朝、早速私は王城の近くに来ていたのだが。


“中に入る方法がないわね···”

正面突破はもちろん無理、しかし塀も高くて乗り越えられるとはとても思えず途方に暮れる。

どうしようかと悩みながら、壁沿いに行ったり来たりをしていた時だった。


「リリス!!!」

突然名前を呼ばれ、パッと声の方を向くと高くて越える事は出来ないと思ったまさにその塀からシャルが降ってきた。

「え!?」

軽やかに降り立ったシャルに驚くものの、そういえば猫探しをした時教会の屋根まで一気に上り飛び降りて来た事を思い出した。

「と、とにかく無事でよか···········!?」

案外あっさり再会できて安心しつつシャルの顔を見て怯む。

「ど、どうしたの!?真っ青よ!」

というか、ブルブル震えてる!?
な、何があったの···!?
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