娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
慌ててシャルの頬に手を添えると、そのままぎゅうっと抱き締められて。


「こ······こわ、怖かった·······!」
「いや、何があったのよ····?」

英雄がこんなに震え上がるってどんな状況だ、と戸惑っている私の耳に、甲高い女性の声が響いた。

「シャスティール様ぁ!今行きますわぁぁ!」
「ぎゃぁぁあ!!!」
「ぐえっ、ちょ、シャル首が絞まってる···!」

悲鳴を上げ私に力一杯抱き付きつつ、右手でサッと何かの魔法を展開したシャル。
そのシャルの魔法にぼすんと落ちてきた金髪のその女性は····

「え···エリザ第二王女殿下···!?」
「きゃあ!やっぱりシャスティール様、私の事を愛してくださっているのね!」
「どこが!?」

私の事なんて視界に入らないらしい王女様は、うっとりとシャルを眺めていて。

「どこがって···今もこうして魔法で私を包んでくださっていますもの!」
「違う!!!落ちたら死ぬ高さだったからで、死なれたら俺が殺されるっていうか!」
「まぁ!死ぬまで離さないということですの!?」
「なんでそうなる!?」

“こ、これは···!”
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