娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
短い時間のやり取りだけで色々察し、ため息を吐く。

“そりゃあの団長様も真剣に拒否する訳ね···”


シャルは英雄。
敵対している相手には圧倒的に強い。が。

“危害を加えられない相手には無力···!圧倒的に無力だわ···!!”

英雄だからこそ、逆に出来ない事もあると知った。


「リリス、こわい、こういう時どうしたらいいんだ!?相手が言葉の通じないお化けなんだ!!!」
「やだっ、シャスティール様ってばお化けだなんて、死んでも一緒って事ですわね?」
「言ってねぇ~~~!!!」


でも、シャルに出来ないからこそ私には出来る事もある。
平民である私には“しがらみ”がないのだから。

そして何より。

“私のシャルをこんなに怖がらせて!!子猫のように怯えちゃってるじゃない!”

抱き付くシャルの腕をそっと外し、背中に庇うようにして一歩前に出ると、初めて王女様と目が合った。

「あら·····潤んだその瞳も素敵だわ、シャスティール様の瞳に写る私も素敵だわ····」

·····気がしただけだった。


「はじめまして王女様」
「リリス····」
「シャスティール様····」
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