娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

30.物語においてキャラが壊れる事ほど恐ろしいこともない

「婚約者?」

今度こそ初めてエリザ第二王女殿下と目が合う。
相手は王族、そう思うと怯みそうになるが、それ以上に私は怒っていた。

「彼は断るとハッキリ言ったのではありません?」
「まぁ、シャスティール様····」
「シャルと王女様は絶対に結ばれません、私がいますから!」

不敬かなんて知らない、というか絶対不敬。
それでも気にせずあえて指をビシッと指しながらそう断言した。
怯えてるシャルから逸らす為に。
王女様の視線を、興味を自分に向ける為に。


“さぁ、なんて答える!?”

心臓がうるさいくらいに跳ねるが、私は王女様から視線を外さず返答を待ち···

「きゃあ!これが愛の試練って事ですのね!?つまり貴女は噂の悪役令嬢ってやつですのね!!」
「あ、悪役令嬢!?」
「そして最後はざまぁされ、私とシャスティール様の間には愛の結晶が宿るのですわ!!」
「王女殿下に勃ちません!!!」
「ちょ、シャル!?」

あまりにも明け透けなシャルの叫びにちょっと焦るが、それもどう解釈したのか王女様は。
< 293 / 308 >

この作品をシェア

pagetop