娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
言うが早いかサッと一人ベッドに入ったスワンはこちらに手を伸ばし、その手にそっと手を重ねると。


「··············ぐぅ」

そのまま一瞬で夢の中へ旅立ったスワンをぼんやり眺める。

「今日初めての身体的接触ね····」

女将や仕事仲間は知らない。
不動の人気No.1である私の処女が、何故か今日も勝手に守られているという事を。


穏やかな寝息をたてているスワンの寝顔を眺めながら小さくため息を吐いた。

圧倒的リピート率から、よほど床上手なのだと噂が噂を呼び新規の指名客も多い私がいまだに処女。

過去に起こった最もえっちな事は膝枕。


“なんでなのよぉ~~~ッッ!!”


部屋に入るなりすぐに寝息をたてはじめる客も多く、きっと他の娼婦からすれば「何もしないで指名料も貰えるなんて最高よ」なんて羨ましがられるのだろうが····

「人気No.1が·······デビューして6年目、24歳にもなっていまだに処女とか···冗談でしょ···」

捨てそびれたこの純潔に頭を悩ませているなんて一体誰が信じるのだろうか。



そんな私が“運命”に出会うまで、あともう少し──……
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