娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

5.ピクニックとは安眠を貪る為のツールではない

なんだかぬくぬくして、とても心地いい。
このままずっとこうしていたい、と目の前の何かにすがるとそれは人肌に温められた大きな魚で·····

あれ、でもこの魚······

「生臭く····ない······」
「は、はぁ!?」
「ふ、ふぇっ!?」

すぐ近くで聞こえた声に釣られて声を上げる。


「·····シャル?」

“というか、私いつの間に上掛け被って····いや、それよりも····”

寝起きのせいかイマイチ状況が掴めずぼんやり眺め、いつの間にか自分がしっかりベッドの中に入っている事に気付く。

「生臭いって、なに」

物凄く不機嫌そうなシャルと目が合いたじろいだ。
そして、しっかり彼に腕枕されているということにも気付いてしまった。

「えっ、私いつの間に、ごめん腕痺れてない!?」
「これくらいで痺れるような鍛え方してないし、生臭くもないつもりだけど」
「いや、生臭くないって言ったんだから生臭くはないわよ····」

ご機嫌斜めなシャルに、何故か腕枕していない方の腕でがっつり抱き締められていて身動きが取れない。
仕方がないのでそのまま一応の弁解を試みたのだが。

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