娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
シャル曰く、堂々としていれば逆にバレない、偽物だと思われる。との事だ。

「ちょっと当てこすってるわね?」と、初日の失態の事を思いだしジト目で聞くと、「なんのことだ?」と心底楽しそうな笑顔が帰ってきて、私もつい楽しくなって二人で笑った。


“お客様と個人的に、娼館の外かつ昼間に会うなんてちょっと緊張するかも···”

別に休みの時間に客と会ってはいけないなんて決まりはそもそもない。
周りの娘だってみんなデートしてるし···とそこまで考え、じわじわと頬に熱が集まるのを感じた。


“で、デートって何よ!?これはデートじゃないわ、美味しいもの教えるって約束したからだし···!”


1人であわあわしている私の横で、じっと湖を眺めていたシャルは、ギギギと音がしそうな感じで恐々と振り向いた。

「···まさか魚を取ってくれとは言わない、よな?」
「まだ魚ネタ引っ張ってたの?」

生臭いならともかく、生臭くないって言ったはずなんだけど···もしかして言い間違えてたのかしら?と少し不安になるが、蒸し返すのもアレなのでここもスルーし、私は手に持っていたバスケットをシャルの前に掲げて見せた。

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