娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

6.見えなくったって一応英雄

「私の魔法が発動してるのかしら」
「いや、発動してない」
「え」

そう言われぽかんとする。
だって発動してないって事は···

「もしかして今寝たら···」
「まぁ、多分悪夢」

あっさり言われた一言に思わず怯む。

「な、なら私の魔法を発動させれば···っ」
「え、ここで?」

ここで、と聞かれ周りを見渡す。
ここは綺麗な景色の湖、そして外。
更に言えばこの景色を楽しみに家族連れなど割りと人がいて····

「ここはダメね!」

だからといって今から移動出来る場所もすぐには思い付かずオロオロしている私の横で、シャルはごろんと横になった。

「こ、ここ地面よ?」
「いいんだよ、天然のカーペットなんだからな」

座るときには焦ってたくせに、なんて思いつつシャルの横に自分も寝転がる。
昼間は多少暑いが木陰が涼しさを保ってくれていてとても気持ちがよかった。


「リリスは寝てもいいぞ」
「シャルこそ目を瞑るだけでも気持ちいいわよ」

どちらともなく笑い合いそのまま目を瞑った。


“本当に寝そう···でも流石に起きてる人の横で本当に寝るわけには···”
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