娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
そんな我が国の勇者こと英雄、シャスティール・シルビル様を凱旋パレードで遠くから、ではなく、まさか娼館の部屋で向かい合う···そんな日が来るなんて、さすがの私でも想像した事はなかったのだが。


「·······え、本物?」
「偽物もたまにいるらしいけどね」

思わず明け透けな本音が溢れ出るが、そんな私を気にするどころか返事を返してくれる。
少しぶすっと不機嫌そうだが、それでも平民だと見下す様子もない。

その時々の“最も過酷な場所”に送られるという英雄様は、過酷なところから帰ってきたとは思えないほど傷はなく、柔らかな栗色の髪に澄んだエメラルドの瞳をしていた。

「綺麗ね」
思わず出た一言に怪訝な表情を向ける彼はそれに対して何も答えなかった。

突然国のトップと言っても過言ではない人を目の前にしてぼんやり眺めてしまっていた私は、「あんたがNo.1って聞いたんだけど」とボソリと言われハッとする。

彼が国防のNo.1なら、私はこの娼館のNo.1。
そしてここは娼館で私は仕事中!

小さく深呼吸し、なるべく“妖艶に見えるように”を意識しつつにこりと微笑む。
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