娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
戦地と戦地を飛び回る日々、たまに王都に帰ると貴族特有の上辺だけの付き合いや媚びへつらいに反吐が出た。

いくら褒賞を与えられても何も心に響かなくなったのはいつからだろうか。


“ーーつか、そもそもこんな金いつ使うんだっての”


大義を見失い、駒として淡々と命令を遂行する。
時に冷酷に、時に大胆に。
自分の心を殺した数だけ功績を残し、いつしか“英雄”の称号が与えられていた。

その事実にも、最早喜びなんて感じることはなくなっていた頃だった。




「お前まさか、眠れないのか?」

完璧に寝たフリが出来ていたと思ったのだが、さすが団長。
他の魔法騎士達と同室だった時にはバレなかったのにあっさり見抜かれて思わず動揺してしまう。

「まさか呪いか?」
「呪いの類いではないと思われます」
「魔法の類い···でもないな、元々強い魔法耐性を持ってる上に魔法耐性向上の魔法をかけて戦ってるお前が戦場で気を抜いて魔法をかけられる、なんてあり得ない」

怪訝な顔になる団長に、これ以上黙っていても仕方がないと小さくため息を吐いた。


「寝れないんです、ただ単に寝れなくなった」
「ーーは?」
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