娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
言われるがまま団長のお気に入りの娼館を教えられ、物凄く嫌々向かった娼館・ライッツで、誰でもいいと伝えたら英雄だとバレたのかすぐさま人気No.1の娘をあてがわれた。


指定された部屋でベッドに腰掛けため息を吐く。
性欲がない訳ではないが、毎度見る悪夢に蝕まれているのかこの場に来ても尚何もする気になれなかった。


「ちゃんと勃つかな、勃ちませんでしたって団長に報告するとか地獄より地獄だな···」


控えめなノックと共に入ってきたその女はピンクと言うには少し濃い“淡い赤”の髪をふわりと揺らし、真っ赤な瞳をしていた。
すぐに俺が英雄だと気付き、ぽかんとした後本物かと聞かれる。


本物だったらどうだというのだ。
それだけ殺してきたというだけだ。
また貴族連中みたいに媚びへつらって来るのか?

うんざりする俺に聞こえたのは、そんな想像とは全く違った「綺麗ね」という一言だった。


“綺麗?それ、男に女が言う事か?”

口説き文句ならかなりレベル低いなぁ、なんて思わず視線を送ると、彼女の表情には変な下心は見れず本心から言っているようで。


“ただの便利な兵器の俺が綺麗?なんだそれ”
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