娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
不思議と嫌な気持ちにはならなかった。



そして、驚くべきは彼女の言動だけではなかったのだ。


「何の魔法だろ、無自覚なのか?睡魔?いや、リラックス効果か···?」

思わず考え込むが、ぶっちゃけそれどころじゃない。
本当にまた眠れる日が来るかもしれないのだ。


浮かれ、頼み、寝たいという欲求を満たす為に口付けをした。
慣れてない彼女の舌使いに、リリスの全てに無性にそそられる。


“腐っても人気No.1ってやつなんだな···”


そして久々に与えられた睡眠は俺の心にやすらぎを与えた。



リリスという女は本当に不思議な女だった。
貴族だから、英雄だから、と媚びる様子もない。
そして何より“守られて当然”の彼女から“心配”されるなんて思いも寄らなかったのだ。


当然のように前線に送られ、当然のように使われる。
俺の姿を見て“助かった”と安堵する奴はいても、俺の姿を見て“心配した”奴なんて今までいたか····?


それだけではなかった。
他の客のとこに行けと言ってもいつも目が覚めた時隣にいた。
ある時は不安そうに至近距離で覗き込まれ、またある時はビンタの構えで待機していた。
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